フラーレンを添加することにより、ポリマー(下図はPMMA)の分解開始温度が大きく高温側に移動していることがわかります。以後、TG曲線から重量が10%減少した温度を求め、熱安定性の指標としています。
いろいろなポリマーに対してフラーレンは空気中での熱劣化を抑制することができます。これらの熱安定性は同量のカーボンブラックを添加した場合には得られません。
ポリマーは、熱・光・酸素等によりラジカルを発生し、図のような反応サイクルを経由して自動的に分解が進んでいきます。
フラーレンは、発生したラジカルを捕捉し、劣化サイクルの自動的な進行を抑える働きがあると考えられています。
これはPOM(ポリアセタール)にフラーレンと代表的なフェノール系熱安定剤を添加した場合の熱安定性を比較したものです。
フェノール系熱安定化剤に比べてフラーレンの添加効果が大きいことがわかります。